Japanese(i)
1 イエス譬をもて彼らに語り出で給ふ『ある人、葡萄園を造り、籬を環らし、酒槽の穴を掘り、櫓をたて、農夫どもに貸して、遠く旅立せり。 2 時いたりて農夫より葡萄園の所得を受取らんとて、僕をその許に遣ししに、 3 彼ら之を執へて打ちたたき、空手にて歸らしめたり。 4 又ほかの僕を遣ししに、その首に傷つけ、かつ辱しめたり。 5 また他の者を遣ししに、之を殺したり。又ほかの多くの僕をも、或は打ち或は殺したり。 6 なほ一人あり、即ち其の愛しむ子なり「わが子は敬ふならん」と言ひて、最後に之を遣ししに、 7 かの農夫ども互に言ふ「これは世嗣なり、いざ之を殺さん、さらばその嗣業は、我らのものとなるべし」 8 乃ち執へて之を殺し、葡萄園の外に投げ棄てたり。 9 さらば葡萄園の主、なにを爲さんか、來りて農夫どもを亡し、葡萄園を他の者どもに與ふべし。 10 汝ら聖書に「造家者らの棄てたる石は、これぞ隅の首石となれる。 11 これ主によりて成れるにて、我らの目には奇しきなり」とある句をすら讀まぬか』 12 ここに彼等イエスを執へんと思ひたれど、群衆を恐れたり、この譬の己らを指して言ひ給へるを悟りしに因る。遂にイエスを離れて去り往けり。