Japanese
(i)
4 慧きものは油を器に入れて燈火とともに携へたり。
5 新郎遲かりしかば、皆まどろみて寢ぬ。
6 夜半に「やよ、新郎なるぞ、出で迎へよ」と呼はる聲す。
7 ここに處女みな起きてその燈火を整へたるに、
8 愚なる者は慧きものに言ふ「なんぢらの油を分けあたへよ、我らの燈火きゆるなり」
9 慧きもの答へて言ふ「恐らくは我らと汝らとに足るまじ、寧ろ賣るものに往きて己がために買へ」
10 彼ら買はんとて往きたる間に新郎きたりたれば、備へをりし者どもは彼とともに婚筵にいり、而して門は閉されたり。