Mark 5:25-43

Japanese(i) 25 ここに十二年血漏を患ひたる女あり。 26 多くの醫者に多く苦しめられ、有てる物をことごとく費したれど、何の效なく、反つて増々惡しくなりたり。 27 イエスの事をききて、群衆にまじり、後に來りて、御衣にさはる、 28 『その衣にだに觸らば救はれん』と自ら謂へり。 29 かくて血の泉ただちに乾き、病のいえたるを身に覺えたり。 30 イエス直ちに能力の己より出でたるを自ら知り、群衆の中にて、振反り言ひたまふ『誰が我の衣に觸りしぞ』 31 弟子たち言ふ『群衆の押迫るを見て、誰が我に觸りしぞと言ひ給ふか』 32 イエスこの事を爲しし者を見んとて見囘し給ふ。 33 女おそれ戰き、己が身になりし事を知り、來りて御前に平伏し、ありしままを告ぐ。 34 イエス言ひ給ふ『娘よ、なんぢの信仰なんぢを救へり、安らかに往け、病いえて健かになれ』 35 かく語り給ふほどに、會堂司の家より人々きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、爭でなほ師を煩はすべき』 36 イエス其の告ぐる言を傍より聞きて、會堂司に言ひたまふ『懼るな、ただ信ぜよ』 37 かくてペテロ、ヤコブその兄弟ヨハネの他は、ともに往く事を誰にも許し給はず。 38 彼ら會堂司の家に來る。イエス多くの人の、甚く泣きつ叫びつする騷を見、 39 入りて言ひ給ふ『なんぞ騷ぎかつ泣くか、幼兒は死にたるにあらず、寐ねたるなり』 40 人々イエスを嘲笑ふ。イエス彼等をみな外に出し、幼兒の父と母と己に伴へる者とを率きつれて、幼兒のをる處に入り、 41 幼兒の手を執りて『タリタ、クミ』と言ひたまふ。少女よ、我なんぢに言ふ、起きよ、との意なり。 42 直ちに少女たちて歩む、その歳十二なりければなり。彼ら直ちに甚く驚きおどろけり。 43 イエス此の事を誰にも知れぬやうにせよと、堅く彼らを戒め、また食物を娘に與ふることを命じ給ふ。