Japanese
(i)
35 その日、夕になりて言ひ給ふ『いざ彼方に往かん』
36 弟子たち群衆を離れ、イエスの舟にゐ給ふまま共に乘り出づ、他の舟も從ひゆく。
37 時に烈しき颶風おこり、浪うち込みて、舟に滿つるばかりなり。
38 イエスは艫の方に茵を枕として寢ねたまふ。弟子たち呼び起して言ふ『師よ、我らの亡ぶるを顧み給はぬか』
39 イエス起きて風をいましめ、海に言ひたまふ『默せ、鎭れ』乃ち風やみて、大なる凪となりぬ。
40 かくて弟子たちに言ひ給ふ『なに故かく臆するか、信仰なきは何ぞ』
41 かれら甚く懼れて互に言ふ『こは誰ぞ、風も海も順ふとは』