Japanese
(i)
26 また言ひたまふ『神の國は、或人たねを地に播くが如し、
27 日夜起臥するほどに、種はえ出でて育てども、その故を知らず。
28 地はおのづから實を結ぶものにして、初には苗、つぎに穗、つひに穗の中に充ち足れる穀なる。
29 實みのれば直ちに鎌を入る、收穫時の到れるなり』
30 また言ひ給ふ『われら神の國を何になずらへ、如何なる譬をもて示さん。
31 一粒の芥種のごとし、地に播く時は、世にある萬の種よりも小けれど、
32 既に播きて生え出づれば、萬の野菜よりは大く、かつ大なる枝を出して、空の鳥その蔭に棲み得るほどになるなり』